有責配偶者とは?
1.有責配偶者とは何か?
有責配偶者とは、簡単に言えば離婚原因を作った側の配偶者のことを指します。
具体的に言うと、浮気や不倫など、不貞行為をした配偶者や暴力を振るった側の配偶者のことです。
これら有責配偶者からの一方的な離婚請求は原則として認められません。
2.有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もある
日本の離婚裁判においては、従来より「有責主義」といって、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められませんでした。
自ら不貞行為などの離婚原因を作っておいて、一方的に離婚を要求するというのは、相手方配偶者にとっては、思いがけないことでもあり、また離婚により安定していた生活が一変する可能性が有るからです。
但し、昨今の判例では、一定の条件下においては、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合が出てきました。
「既に夫婦関係は完全に破綻してしまっており、このままずっと回復困難な婚姻関係を続けていくよりも、互いに未来に向かって歩き出すべき」という考え方も採用され始めたからです。
この考え方を「積極的破綻主義」と言います。
但し、どのようなケースにおいてもこの考え方が採用され、離婚が認められるという訳ではなくて、以下の3つの条件が揃っていることが必要だと言われております。
別居期間が相当に長期に及んでいること
夫婦の婚姻期間・同居期間・年齢などを考慮のうえ、別居期間が相当程度長期に及んでいる場合において、離婚が認められる場合があります。
初めてこの判例が下された時の別居期間は実に「20年」を超えておりましたが、別居期間は次第に短縮され、現在では最短で5年という判例もあります。
また、別居期間中に、有責配偶者から、毎月きちんと婚姻費用が支払われている、という要件が加味されることもあります。
未成熟の子がいないこと
未成熟の子とは、親の資金的な援助がなければ自立して生計を営むことが出来ない子どものことを指しています。
未成年という意味合いではなく、おおよそ、高校を卒業している程度であれば、認められたという判例があります。
離婚により相手方配偶者が過酷な状況に置かれないこと
「過酷な状況」とは経済的・精神的・社会的など、様々な見方ができますが、基本的には経済的に過酷な状況にならないことが第一番目に判断されます。
例えば、浮気をした夫から離婚請求が行われた場合で、妻も従来から仕事を持っていて独立して生計を立てることが可能であったり、夫にも慰謝料や養育費をしっかりと払えるだけの基盤がある場合などにおいては、離婚が認められる場合があります。