離婚公正証書について

1.公正証書とは?

公正証書とは、一般的に「金銭の支払いを目的とする債務」に関する契約書等の作成に活用されており、その最大の特徴は、公正証書において当事者間で取り決めた金銭債務の支払いが滞ることがあれば、債権者は裁判というプロセスを経ることなく債務者の不動産や預金、給料などを差押えることができる、というものです。(その為には、必ず「強制執行認諾約款」を入れなければなりません。)

強制執行認諾約款とは、債務者が「約束を実行しない時には、直ちに強制執行を受けることを承諾した」という条項(条文)のことです。

離婚公正証書においては、慰謝料、財産分与、養育費に関してのみ、強制執行ができることとなります。

離婚協議書を公正証書で作成しておくことがいかに重要であるかは、上記の説明から言うまでもありません。

その他にも、離婚協議書を公正証書で作成するメリットとして、①公正証書には、強力な証拠力があり、万一裁判になった場合に、立証の苦労がないこと②原本が、公証役場に保存されるため、紛失・偽造・変造の恐れがないこと、などがあげられます。

2.公証役場利用時の注意点及び持参物

公証役場を利用して離婚公正証書を作成するに当たっては、主に下記のような注意点があります。

  • どこの公証役場を利用するかについては自由になっており、居住地は関係ない。
  • 当事者が仕事等により出席できない場合には、代理人に手続きを委任できる。(※例外有)
  • 代理人には(原則として)誰がなってもかまわない。
  • 公証人手数料は、公正証書に記載する離婚給付金の額によって上下する。
  • 公証人手数料は、公正証書作成の当日に、現金で支払う。

※公証役場によっては、当事者の出席を求められる場合があります。(予め公証役場に確認する必要があります。)

公正証書作成の当日に持参頂く物は下記の通りとなります。

  • 夫婦の戸籍謄本
  • 実印(本人が出席し、免許証等の身分証明を提示できる場合は認印可。)
  • 印鑑証明(代理人に委任する場合若しくは運転免許証等の身分証明を提示できない場合)
  • 運転免許証、外国人登録済証、パスポートなどの身分証明
  • 委任状(代理人に委任する場合。この場合、離婚公正証書の原案条項を添付した委任状が必要)
  • 代理人の実印及び印鑑証明(認印及び身分証明書でも代用可)
  • 公証人手数料(現金)

※その他に、財産分与に不動産や自動車等の動産がある場合、登記簿謄本及び固定資産税等評価証明、車検証などを要求される場合があります。

また、年金分割を希望する場合には、年金手帳(夫婦共)等が必要になる場合がありますので、予め公証役場に確認が必要です。

3.公正証書作成当日の手順

事前に離婚公正証書の原案の作成が完了すれば、日程を調整のうえ、当事者若しくは代理人が持参物を持って公証役場に出向きます

公証人が、作成した離婚協議書を当事者に読み聞かせを行い、説明をしたうえで、当事者が原本に署名捺印します。

これで離婚公正証書の原本が完成します。

この原本は公証役場に保管されますが、公証人が、正本と謄本を各1通発行してくれます。

そのうち、正本は強制執行を依頼する際に必要となりますので、必ず強制執行を行う側(債権者)が大切に保管しておかなければなりません。

その後、公証人手数料を支払い、手続きは全て完了となります。

(注意点)債務者が出席している場合には必ず交付送達の手続きを取りましょう!

債務者本人が公証役場に出頭してきた時は、公証人が直接債務者本人に対して、離婚公正証書の謄本を交付する方法による送達ができます。

これを「交付送達」と言います。

単に債務者が実際に公証役場に出頭していて、公証人から謄本を受け取ったとしても、交付送達したことにはなりません。

交付送達の手続を別途しなければ、送達されたことになりませんのでご注意ください。

この交付送達の手続きを行っておけば、債務者が金銭の支払いを履行しない場合の、強制執行手続きが簡単になります。

つまり債務者が出頭する場合には、必ず「交付送達」の手続きを行う必要があります。

4.公証人手数料について

公正証書の作成に当たっては、所定の公証人手数料が必要となります。

公証人手数料は、慰謝料・財産分与、養育費、年金分割などの内容によって金額が上下します。

離婚公正証書に記載する内容に応じて、事前に手数料額を公証役場に確認のうえで準備しなければなりません。

以下、参考までに公証人手数料の一覧を掲示しますので概算にお役立て下さい。

慰謝料・財産分与等の金額 認証手数料
~100万円 5,000円
~200万円 7,000円
~500万円 11,000円
~1000万円 17,000円
~3000万円 23,000円
~5000万円 29,000円
~1億円 43,000円
以下略

※慰謝料と財産分与については1つの法律行為として、合計金額で算出します。

※養育費については、10年分の金額を元に公証人手数料を算出します。

※年金分割については、一律で11,000円で算出されます。

(計算例)慰謝料及び財産分与が合計600万円、養育費が月額5万円、年金分割なしの場合

・慰謝料及び財産分与 ・・・ 17,000円

・養育費(年間60万×10年) ・・・ 17,000円 公証人手数料合計34,000円

※別に、正本及び謄本の用紙代が約2~3,000円必要です。

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